グレーゾーン金利とは
グレーゾーン金利とは、利息制限法で定められている上限金利は超えるものの、出資法に定める上限金利には満たない金利のことをいいます。
これまで、罰則規定が設けられていなかったことから、貸金業者の中でも消費者金融業者の多くは、この金利帯で金銭を貸し出しているパターンが多く見られました。
まず、利息制限法の規定では、 「金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約」(利息契約)は、その利息が下記の利率により計算した金額をこえるとき、その超過部分につき無効と定める(利息制限法1条1項)とあり、以下のように上限金利は決められております。
元本が十万円未満の場合 年二割(年20%)
元本が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分(年18%)
元本が百万円以上の場合 年一割五分 (年15%)
なお、これ以上の利息については無効となるため、支払う義務はありません。 但し、超過部分を利息として任意に支払った場合には、その返還を請求することができません。(1条2項)
次に、貸金業規制法(貸金業の規制等に関する法律)では、 登録を受けた「貸金業者」が、業として行う利息契約をしたときに、利息制限法に定める上限金利を越えていても、下記の条件を備える場合、「有効な利息の債務の弁済とみなす」と定める(貸金業規制法43条)とあり、多くの消費者金融業者はこちらの適用も受けることになります。
1.債務者が利息として”任意”に支払ったとき、
2.貸し出しの条件等を明記した”書面”を交付している場合。
これを「任意に支払つた場合のみなし弁済」もしくは単に「みなし弁済」といい、この条件を満たして任意に利息を支払った場合には、利息制限法に定める利息の超過部分も、返還を請求できないとされています。
さらに、出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)では、「金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合」に、年29.2%(うるう年には年29.28%。1日当たり0.08%。)を超える割合による利息の契約をしたときは、「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」(出資法5条2項)と定められており、この「年29.2%」が出資法の定める上限金利となっています。
出資法に定める上限金利を超えて利息の契約をすると、契約しただけで刑罰が科され、貸金業の登録取消・業務停止等の制裁が課されるため、多くの貸金業者はこの金利を超えて貸し出すことはありません。
ここで、問題となるのが、利息制限法に定める上限金利を超え、出資法に定める上限金利に満たない金利帯の利率です。(いわゆるグレーゾーン金利)。
貸金業規制法では、登録を受けた「貸金業者」が、業として行う利息契約をしたときに、利息制限法に定める上限金利を越えていても問題とはなりませんが、これには条件が設定されています。
1.債務者が利息として”任意”に支払ったとき、
2.貸し出しの条件等を明記した”書面”を交付している場合。
そして、多くの消費者金融業者は、上記の2.「貸し出しの条件等を明記した”書面”を交付している場合」という要件を満たしてはおりません。
つまり、この要件を満たすことなく、利息制限法の金利を適用させていることが問題となっているのです。
そして、最近の判例では、この問題に関して、債務者に有利な方向で解釈する姿勢が強く表れてきています。
このグレーゾーン金利の問題は、法改正も含めて検討されており、今後の動向が注目されます。